これやそれが多い文章は指すものをAIで確認する
指示語や主語の省略で意味が曖昧になった業務文を、元の意図を確認しながら直す方法です。
この記事で分かること
- 指示語の候補
- 意味を決めつけない修正
- 必要な名詞を戻す
仕事の連絡で「これ」「それ」「前のもの」が増えると、書いた本人には分かっても、受け取った人は何をすればよいか判断できません。AIは文章をきれいにするためではなく、「読み方が分かれる場所」を見つける補助に使います。
作業が止まる連絡文の例
架空の会社で、次の社内チャットが送られたとします。
見積書とセミナー案内文を確認しました。 こちらの日付を前のものに戻して、 それを担当者に送ってください。
受け取った人は、次の点で迷います。
- 「こちら」は見積書か、案内文か、両方か
- 「日付」は見積日、有効期限、開催日のどれか
- 「前のもの」はどの版か
- 「それ」は修正した文書か、両方の文書か
- 「担当者」は社内の確認者か、取引先か
意味を決めつけずに点検させるプロンプト
次の業務連絡文を点検してください。 目的は、文章を上手に書き換えることではなく、 受け取った人が作業を始める前に確認すべき点を見つけることです。 次の表で回答してください。 1. 曖昧な言葉 2. 考えられる意味 3. 書き手に確認する質問 4. 確認せずに進めた場合の問題 書き手の意図を推測して、完成文を作らないでください。 意味が一つに決まらない場合は、候補を複数挙げてください。 【連絡文】 見積書とセミナー案内文を確認しました。 こちらの日付を前のものに戻して、 それを担当者に送ってください。
AIの回答例から、質問を作る
以下は特定のAIの実出力ではなく、プラスタが作成した編集例です。
| 曖昧な言葉 | 考えられる意味 | 書き手への質問 |
|---|---|---|
| こちら | 見積書、案内文、または両方 | 日付を戻すのはどの文書ですか |
| 日付 | 見積日、有効期限、開催日 | どの項目の日付を変えますか |
| 前のもの | 直前の版、最初の版、別の日付 | 戻す日付を数字で教えてください |
| 担当者 | 社内の上長、作成者、取引先 | 誰に送りますか。送信自体は誰が行いますか |
この回答をそのまま転送するのではなく、書き手に短く確認します。
確認です。 変更するのはセミナー案内文の開催日で、 10月22日から10月29日に戻す、という理解でよいですか。 修正後は、私から営業課の佐藤さんへ確認用として送る形でよいですか。
確認後の完成文
書き手から「案内文の開催日は10月29日。佐藤さんに社内確認用として送る」と返答があったとします。その場合の完成例は次のようになります。
セミナー案内文の開催日を10月29日に修正し、 営業課の佐藤さんへ社内確認用として送ってください。 見積書は修正しません。
「これ」を「案内文」に置き換えただけでなく、変更する項目、新しい日付、送る相手、送る目的、変更しない文書まで分かる文になりました。
自社で試すときの手順
1. 返信や質問が多かった社内連絡を一つ選びます。 2. 実名、顧客名、金額などを架空の内容に置き換えます。 3. 上のプロンプトで曖昧な箇所を出します。 4. AIが推測で補っていないか、元の文と照合します。 5. 書き手に確認し、事実がそろってから完成文を作ります。
この方法が向く文章・向かない文章
複数の資料、日付、担当者が登場する社内連絡、作業依頼、申し送りに向きます。一方、会話の前後から意味が明らかな短い返事まで、すべて名詞に置き換えるとかえって読みにくくなります。相手が作業を始めるのに必要な箇所に絞って点検します。
本文のプロンプト、AIの回答例、完成文はプラスタが作成した架空の編集例です。特定のAIで確認した実出力や、実際の顧客支援事例ではありません。