AIの利用ルールは、迷った場面3つから作る
AIを使うときの社内ルールを、長い規程にせず、1ページから始める方法。従業員が迷った場面を3つ集め、「入れてよい・入れない・責任者に確認する」に分けて、決める4項目を書き出します。

この記事で分かること
- 従業員が迷った場面の集め方と、3つの分け方
- 最初に決める4項目と、1ページに書く例
- 1か月使って、ルールを直す方法
従業員がAIを使い始めたものの、何を入れてよくて、何がだめなのか、会社として決まっていない。そんなときに、いきなり長い規程を作ろうとすると、読まれないまま終わりがちです。この記事は、従業員が実際に迷った場面から、1ページのルールを作る手順です。
用意するのは、従業員が「これはAIに入れていいのかな」と迷った場面を、3つ。最後に、使ってよいサービス、入れない情報、外へ出す前の確認、困ったときの連絡先が書かれた1ページができます。
迷った場面を、3つ集める
まず、経営者自身や従業員に聞きます。「AIを使っていて、これは入れてよいのか迷ったことはありますか」。思い浮かばないときは、「お客様のメールの返信を考えるとき」「見積書の文章を整えるとき」のように、仕事の場面を挙げて尋ねると出てきます。
集めるのは、多くの人が迷う場面を3つ。最初から10も20も集めると、ルールが長くなって誰も読まなくなります。
場面ごとに「入れてよい・入れない・責任者に確認する」に分ける
次の例は、架空の従業員8人の設備工事会社の場面です。実在の会社の規則ではありません。
| 迷った場面 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| お客様への返信メールの文章を整えたい | お名前・住所・電話番号を外せば入れてよい | 個人を特定できる情報がAIに渡らない |
| 見積書の内容をAIで見直したい | 責任者に確認する | 取引先の金額や条件が入るため、入れてよいかは責任者が決める |
| 現場で撮った写真の説明文を書かせたい | お客様の家が分かる写真は入れない | 住所や表札が写っていることがある |
判断の列は、3つのどれかに分けます。
- 入れてよい: 公開している案内文、お客様の名前や連絡先を外した文章など。
- 入れない: お客様の氏名・住所・電話番号、契約書、パスワードなど。
- 責任者に確認する: 迷うものは、勝手に決めず、AIに入れる前に責任者へ聞く。
最初に決める4項目を、1ページに書く
場面が整理できたら、次の4項目を1ページにまとめます。長い文章にせず、箇条書きで十分です。
- 使ってよいサービス: 会社が契約したもの。個人のアカウントに、仕事の情報を入れない。
- 入れない情報: お客様の氏名・住所・電話番号・メールアドレス、契約書、見積書の原本、パスワード、従業員の個人情報。
- 外へ出す前の確認: AIが作った文章は、メールやお客様向けの資料に使う前に、書いた本人が元の資料と見比べる。金額・日付・条件はとくに確かめる。
- 困ったときの連絡先: 入れてはいけない情報を入れてしまったとき、誤って送ってしまったときは、すぐ責任者に知らせる。責任者の名前と連絡先を書いておく。
連絡先の項目には、何を、いつ、どのサービスに入れたかを、メモに残すことも書き添えます。あとから対応を考えるときの手がかりになります。
配る前に確かめる3つのこと
1ページができたら、従業員に配る前に次の3つを確かめます。
- 3つの場面すべてに、「入れてよい・入れない・責任者に確認する」のどれかが書いてあるか。
- 「責任者に確認する」の相手(責任者)が、名前と連絡先まで書いてあるか。
- 経営者自身も、このルールに従うか。経営者だけが例外では、従業員が従いにくくなります。
1か月使ってから直す
ルールは、作った時点では完成しません。1か月ほど使ったら、従業員に聞きます。「ルールを読んでも迷った場面はありましたか」。出てきた場面を、「入れてよい・入れない・責任者に確認する」のどれかに分けて、1ページに足します。
足すときは、同じ内容を別の言い方で重ねて書かないようにします。たとえば「お客様の情報は入れない」と「お名前は入れない」が並ぶと、どちらが優先か迷います。似た項目は1つにまとめます。
AIの使い方は、サービスの機能が変わるたびに、迷う場面も変わります。ルールの目的は、従業員が迷わず使えて、困ったときにすぐ相談できる状態にすることです。1ページから始めて、迷った場面が出るたびに足していきましょう。