AIに長い文章を要約させるときは、残してほしい項目を先に指定して頼む
長い文章をAIに「短くして」と頼むと、期限や例外が抜けることがあります。残してほしい項目を先に指定して頼む文例と、原文と照らして確かめる点を、長いお知らせの例つきで紹介します。

この記事で分かること
- 「短くして」と頼むと、期限や例外が抜けやすい理由
- 残す項目を先に指定して頼む文例と、仕上がりの見本
- 要約を回す前に、原文と照らす点
仕入先やサービス提供元から届く料金改定や規約変更のお知らせ、取引先からの契約更新の案内、長い報告書。仕事で読む文章には、読み切るのが大変なものがあります。そこでAIに「短く要約して」と頼むと、読みやすくなる一方で、期限や但し書きが抜けていることがあります。
この記事は、長い文章をAIに要約させるとき、残してほしい項目を先に指定して頼む方法です。文章の種類は問いません。用意するのは、要約したい文章(メールの本文、PDFから写した文字など)です。最後に、原文と照らして確かめる点もまとめます。
なぜ条件が抜けるのか
「要約して」と頼むと、AIは文章全体を短くしようとします。文章の中心になっている「料金が変わります」のような一文は残りやすい一方で、「ただし、年額契約の方は〜」のような但し書きは、短くする過程で落ちやすくなります。
ところが、読む側が困るのは、まさにその但し書きです。短くすることと、判断に必要な条件を残すことは、別の頼みごとです。頼む段階で、残す項目を言葉で指定しておきます。
元になる文章の例
サービスの提供元から届いた、料金と規約の改定のお知らせだとします(架空の例です)。
【重要】ご利用料金およびサービス内容の改定について 平素より「サービスA」をご利用いただき、誠にありがとうございます。 このたび、サービスの品質維持と機能強化のため、ご利用料金およびサービス内容を、下記のとおり改定いたします。 1. 料金の改定 スタンダードプランの月額料金を、2,200円(税込)から2,640円(税込)に改定いたします。ベーシックプランの月額料金(1,100円・税込)に変更はございません。 2. 適用時期 2027年4月分のご請求(請求月基準)から、新しい料金を適用いたします。2027年3月分までのご請求は、現行の料金のままです。 3. 年額プランをご契約中のお客様 年額プランをご契約中のお客様は、現在のご契約期間が終了するまで、現行の料金のままご利用いただけます。新しい料金は、次回のご契約更新時から適用いたします。 4. 機能の拡充 銀行明細の自動取り込みの上限を、スタンダードプランにおいて、月300件から月500件に拡大いたします。ベーシックプランは、月100件のままです。 5. 旧形式の帳票の提供終了 2018年版の旧形式の帳票レイアウトは、2027年6月30日をもって提供を終了いたします。7月1日以降は、新形式の帳票のみのご利用となります。旧形式の帳票が必要な場合は、提供終了までにPDFで保存してください。 6. サポート体制の変更 電話サポートの受付時間を、平日10時から17時に変更いたします(現行は平日10時から18時)。チャットおよびメールでのサポートに変更はございません。 7. 利用規約の改定 第12条(データの保存期間)を改定し、解約後のデータの保存期間を90日から60日に短縮いたします。 8. 改定への同意について 本改定に同意いただけない場合は、2027年3月31日までに、管理画面から解約のお手続きをお願いいたします。期日までにお手続きがない場合は、本改定に同意いただいたものとみなします。 本件に関するお問い合わせは、サポート窓口までお願いいたします。 今後とも「サービスA」をよろしくお願い申し上げます。
このお知らせを受け取った側が知りたいのは、「いつから」「いくら上がるか」「自社の契約に当てはまるか」「例外」「期日までに自社がすること」です。8つの項目のうち、判断に関わる条件が、3・5・8などの文の中に散らばっています。
残す項目を指定して頼む文例
次の文章に、要約したい文章を貼って送ります。
次の文章を、社内で契約や手続きを担当する人が読むための要約にしてください。 次の項目に分けて書いてください。 1. 変更の内容 2. いつから・いつまで(日付と、何の日を基準にするか) 3. 金額(変更前と変更後) 4. 例外・条件(当てはまらない場合、猶予、対象外のもの) 5. 期日までに自社がすること(文章に書いてある場合だけ。なければ「記載なし」) 日付・金額・条件は、原文の言葉をそのまま使ってください。 原文にないことは足さないでください。 【文章】 (ここに貼る)
項目は、文章の種類に合わせて入れ替えます。契約更新の案内なら「更新の期限」「解約の条件」、報告書なら「結論」「判断が必要な点」のようにします。
ポイントは3つです。
- 項目を先に決める: 項目を指定しないと、AIは自分で重要そうな部分を選びます。指定すれば、例外の欄が空のままでも、「抜けた」ことが見えます。
- 日付と金額は、言い換えさせない: 「2027年4月分のご請求(請求月基準)」を「4月から」に言い換えると、何の日が基準かが消えます。
- ないものは「記載なし」と書かせる: 項目に合う内容が原文にないとき、AIが想像で埋めるのを防げます。
仕上がりの見本
頼んだとおりに整った場合の見本です(編集例です)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 変更の内容 | スタンダードプランの月額料金を改定。あわせて、自動取り込みの上限拡大、旧形式の帳票の提供終了、電話サポート時間の短縮、解約後のデータ保存期間の短縮 |
| いつから・いつまで | 新料金は2027年4月分のご請求(請求月基準)から。旧形式の帳票は2027年6月30日で提供終了 |
| 金額 | スタンダードプラン 2,200円 → 2,640円(税込・月額)。ベーシックプランは1,100円で変更なし |
| 例外・条件 | 年額プランは、現在の契約期間が終わるまで現行料金(次回更新時から新料金)。自動取り込みの上限は、スタンダードのみ月500件に拡大 |
| 期日までに自社がすること | 2027年3月31日までに、同意しない場合は解約手続き(期日までに手続きがなければ同意とみなされる)。旧形式の帳票が必要なら、6月30日までにPDFで保存 |
要約は、原文と3点を見比べる
AIの要約は、そのまま回さず、原文と見比べて、次の3点を確かめます。
- 日付と金額が、原文と一字一句同じか。 「請求月基準」のような、日付の後ろの言葉まで確かめます。
- 例外の欄に、原文の但し書きがすべて入っているか。 原文の「ただし」「なお」「みなす」「まで」を含む文を探して、要約の中にあるかを見ます。最も抜けやすい箇所です。
- 「記載なし」の項目が、本当に原文にないか。 別紙や添付に書いてあることもあるので、原文の末尾の案内も読みます。
抜けた条件は、同じ会話で足す
見本の表には、「解約後のデータの保存期間が90日から60日になる」という点が入っていません。こうした抜けは、同じ会話の中で、次のように頼んで足します。
「変更の内容」または「例外・条件」に、解約後のデータの保存期間が90日から60日になる、という点が入っていません。 原文のとおりに足してください。ほかの項目は変えないでください。
足す内容と、変えない項目の両方を示すと、関係のない箇所が書き換えられるのを防げます。
回す前に確認すること
要約を回す前に、「例外・条件」の欄だけを、原文と並べて読み直すようにします。全文を読み直すより短い時間で済み、困りやすいところを押さえられます。
要約の役割は、文章を短くすることではなく、読んだ人が期限や条件を取り違えずに動けるようにすることです。 AIには文章の整理を任せ、「抜けがないか」の確認は人が受け持つと、安心して使えます。