苦情のメモをAIで整理するときは、起きた事実と相手の要望を分けて書き出させる
苦情を受けたときのメモは、事実、相手の気持ち、要望、こちらの推測が混ざりがちです。AIに「事実」「相手の要望」「分からないこと」へ分けて書き出してもらう頼み方、返ってくる表の見本、推測が混ざったときの直し方を、架空の苦情で紹介します。

この記事で分かること
- 苦情のメモで、事実と要望と推測が混ざると何が困るか
- メモを渡して、事実・相手の要望・分からないことに分けてもらう頼み方の文例
- 返ってくる表の見本と、推測が混ざったときの直し方
苦情を受けたあとに書くメモには、起きたこと、相手が怒っていた様子、こちらの「たぶんこうだった」という推測が、一緒に書かれがちです。そのまま上司に報告したり、返答の文を考えたりすると、推測が事実として伝わってしまいます。
この記事は、苦情のメモをAIに渡して、「起きた事実」「相手の要望」「分からないこと」に分けて書き出してもらう方法です。用意するのは、苦情を受けたときに書いたメモ。最後に、分けた表と、推測が混ざったときの直し方が手に入ります。ここでは、注文した商品の中身が違っていたという苦情を例にします。
事実と要望が混ざったメモは、返答を誤らせる
苦情のメモを読み返すと、たとえば、次のような言葉が並んでいます。
- 「注文と違う商品が届いた」(起きたこと)
- 「すぐに交換してほしい」(相手の要望)
- 「ひどい会社だ」(相手の気持ち)
- 「たぶん、倉庫での取り違えだと思う」(こちらの推測)
これらを分けないまま返答を考えると、まだ分かっていない原因を、すでに認めたように書いてしまうおそれがあります。分けて見ると、先に確かめることと、先に応えられることが、はっきりします。
苦情のメモの例
苦情の電話を受けた人が、書いたメモだとします。個人名や連絡先は、あらかじめ除いておきます。
10月28日の午後、電話。10月25日に注文した商品が届いたが、注文と違う色のものが入っていたとのこと。 相手はかなり怒っていて、「何度目だ」と言っていた。すぐに交換してほしいが、今週は出張なので、来週の月曜までに届けてほしいと言われた。 たぶん、倉庫での取り違えだと思う。前にも同じことがあったような気がする。 注文番号は聞いた。返品の送料は、こちらで持つ話をしたかもしれない。
分けて書き出してもらう文例
メモを貼って、次のように頼みます。
次は、苦情の電話を受けたあとのメモです。 このメモを読んで、次の4つに分けて、表で書き出してください。 1. 起きた事実(メモに書かれていること) 2. 相手の要望 3. 相手の気持ちを表す言葉 4. こちらの推測や、記憶があいまいな点(「たぶん」「かもしれない」などの言葉があるところ) メモに書かれていないことを、あなたが補わないでください。 そのあとで、返答の前に、メモの持ち主に確かめたほうがよいことを、箇条書きで出してください。 返答の文は、まだ書かないでください。 【メモ】 (ここにメモを貼る)
ポイントは3つです。
- 4つの分け方を、頼み文に書く: 「事実と気持ちを分けて」と曖昧に頼むより、分ける項目を決めたほうが、抜けや混ざりが減ります。
- 「メモにないことを補わない」と頼む: 原因や責任の判断をAIがしてしまうのを防げます。
- 返答の文は、まだ頼まない: 事実が確かめられていない段階で返答の文を作ると、推測を含んだ文になります。
返ってくる表の見本
頼んだとおりに整った場合の見本です。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 起きた事実 | 10月25日に注文した商品が届いた。注文と違う色のものが入っていた。注文番号は聞いている |
| 相手の要望 | 交換してほしい。来週の月曜までに届けてほしい(今週は出張のため) |
| 相手の気持ちを表す言葉 | 「何度目だ」と怒っていた |
| こちらの推測・あいまいな点 | 倉庫での取り違えだと思う(推測)。前にも同じことがあった気がする(記憶があいまい)。返品の送料をこちらで持つ話をしたかもしれない(約束したかが不明) |
そのあとに、確かめたほうがよいことが、次のように出てきます。
- 注文の記録で、注文した色と、実際に出荷した色が何だったか
- 「前にも同じことがあった」とされる記録が、実際にあるか
- 返品の送料について、相手に何を伝えたか
事実の欄が短くなり、推測の欄に不確かなことが集まっているのがポイントです。返答を考えるときは、事実と要望の欄をもとにし、推測の欄は、確かめてから使います。
推測が混ざったときの直し方
AIが返してきた表の「起きた事実」の欄に、推測が入っていることがあります。たとえば、「倉庫での取り違えにより、違う色が届いた」と書かれている場合です。これは、メモの「たぶん」の部分を、AIが事実のように書き直した例です。
次のように、同じ会話で直してもらいます。
「起きた事実」の欄に、「倉庫での取り違え」とありますが、これはメモでは「たぶん」と書いた推測です。 事実の欄からは外して、「こちらの推測・あいまいな点」の欄に移してください。 ほかの欄は変えないでください。
直す内容と、変えない部分の両方を示すと、関係のない欄が書き換わるのを防げます。
次にすること
表ができたら、人が確かめることを先に済ませてから、返答を考えます。 確かめたあとに、返答の文を頼む場合も、事実の欄と、確かめた結果だけを渡します。推測の欄は渡しません。
AIは、メモを整理する役です。どこに責任があるか、どこまで応じるかは、メモを書いた人と、判断する立場の人が決めます。分けた表は、その判断をするための材料です。