問い合わせの回答集は、AIに根拠つきで頼む
よくある質問の回答集を、AIに下書きしてもらうときの頼み方。いま案内している資料だけを渡し、回答案・根拠・確認が必要なことを分けて出してもらう手順を、貸し会議室の例で紹介します。

この記事で分かること
- AIに渡す資料と、渡さない資料の分け方
- 回答案と根拠を組にして出してもらう頼み方
- 答えが出ない質問を、確認すべき項目として残す方法
同じ質問に、そのつど資料を探して答えている。そんな問い合わせ対応を減らすには、よくある質問の回答集が役に立ちます。この記事は、回答集の下書きをAIに頼むときに、書かれていない条件を足されないようにする手順です。
用意するのは、いま案内している内容が書かれた資料(利用案内、料金表、申込みの流れなど)と、よく届く質問を3〜5件。最後に、「回答案」「根拠にした箇所」「まだ確認が要ること」が質問ごとにそろった一覧ができます。
渡す資料は、いまの案内に絞る
過去の返信メールを集めて「ここから回答集を作って」と頼むと、特定のお客様にだけ認めた値引きや期限の延長が、誰にでも通る条件のように回答へ混ざります。AIには、どのメールが例外だったか分からないからです。
- 渡す: いま案内している文章。利用案内、料金表、申込みの流れ、キャンセルの決まりなど。
- 渡さない: 個別のお客様とのやり取り、終わったキャンペーン、古い版の料金表。
過去のメールは、「どんな質問が多いか」を拾うためだけに使います。質問は、お客様の名前や会社名を外し、1件を1行にまとめて並べます。
回答案と根拠を組にして頼む
次の例は、架空の貸し会議室の回答集です。実在の会社の条件ではありません。
貸し会議室の「よくある質問」の回答案を作ってください。 使ってよい情報は、下に貼る「利用案内」だけです。 質問ごとに、次の3つを出してください。 ・回答案 ・根拠にした利用案内の箇所(そのまま抜き出す) ・利用案内に書かれていないため、人に確認が必要なこと 利用案内にない料金、時間、例外、割引は補わないでください。 利用案内の中で内容が食い違っているときは、どちらかを選ばず、食い違いとして示してください。 【質問】 1. キャンセルはいつまでできますか 2. 当日の延長はできますか 3. 飲み物は持ち込めますか 【利用案内】 (ここに、いま案内している文章を貼る)
ポイントは、根拠の箇所を「そのまま抜き出す」ことと、「書かれていないこと」を出す欄を用意することです。この2つがあると、AIの回答が資料の内容と合っているかを、自分の目で照合できます。
返ってきた回答案を読む
利用案内に、次の3か所だけが書かれていたとします。「利用日の3日前まではキャンセル料がかかりません。それ以降はキャンセル料がかかります」「次のご予約がなければ、延長できます」「会議室内では、飲み物のお持ち込みが可能です」。このとき、依頼文どおりに整理された結果の例が、次の表です(編集例で、AIの実際の出力ではありません)。
| 質問 | 回答案 | 根拠の箇所 | 確認が必要なこと |
|---|---|---|---|
| キャンセル | 利用日の3日前まではキャンセル料はかかりません。それ以降はキャンセル料がかかります。 | 「利用日の3日前まではキャンセル料がかかりません。」 | 3日前より後の料金がいくらか |
| 延長 | 次のご予約がなければ、延長できます。 | 「次のご予約がなければ、延長できます。」 | 延長の料金と、申し出る時刻の締め切り |
| 飲み物 | 飲み物は持ち込めます。 | 「飲み物のお持ち込みが可能です」 | 食べ物やお酒の扱い |
右端の「確認が必要なこと」が、この表の大事な部分です。 利用案内に書かれていない金額や条件を、AIが自然な文章で埋めなかったから、確認すべき項目として残りました。
この項目は、料金や条件を決める責任者に聞き、答えをまず利用案内に書き足します。その後で、同じ依頼文をもう一度使います。回答集にだけ答えを書くと、案内と回答集の内容が食い違い、どちらが正しいか分からなくなるからです。
1回で整わないときは、依頼文を1つだけ直す
最初から思いどおりに出るとは限りません。うまくいかなかったら、原因を1つに絞って依頼文を直し、同じ質問でもう一度試します。
- 根拠の欄が、要約や言い換えになっている: 依頼文の「そのまま抜き出す」を、「一字一句変えずに、かぎかっこで抜き出す」に変える。
- 「確認が必要なこと」が、どの質問でも空欄になっている: 資料に本当にすべて書いてあるかを、自分の目で確かめる。書いていない条件があるのに空欄なら、「資料にない条件を回答に入れていないか、1文ずつ見直してから出し直してください」と頼み直す。
- 資料より強い言い方になっている: 資料の「お願いしています」が回答案で「必須です」に変わっていないか、1文ずつ見比べる。変わっていたら、その文を指定して「資料の表現のまま」に直させる。
一度に複数を変えると、どの修正が効いたのか分からなくなります。直す箇所は1つずつにしましょう。
公開前に確かめる4つのこと
- 根拠: 回答案の各文が、利用案内の抜き出した箇所と合っているか。
- 足されていない条件: 料金、時間、例外、割引が、資料にないのに入っていないか。
- 確認が必要なこと: 責任者に聞き、答えを利用案内に反映したか。
- 例外の混入: 特定のお客様だけの対応や、終わったキャンペーンが、誰にでも通る条件のように書かれていないか。
最後に、実際によく聞かれる言い方で質問して、回答集から答えが見つかるかを試します。見つからなければ、質問の言葉を回答集に足します。
回答集を、使い続けるために
料金やサービスが変わったら、先に利用案内を直し、その後で回答集を作り直します。回答集の各項目に確認した日付を付けておくと、古い回答が残っていないかを探しやすくなります。AIに頼むのは文章の下書きまでで、その条件で本当に対応できるかは、会社が決めることです。