AI活用・業務改善

AIでメールを下書きする

公開:2026年10月26日 / 編集:合同会社プラスタ

AIへ渡す用件を整理し、下書きを直して送信前に点検する手順を、納品日変更の相談で紹介します。コピーして試せる依頼文と、ChatGPTで試した修正結果を掲載します。

「AIでメールを下書きする」の解説イメージ
図解:記事の要点を整理した説明図です。

この記事で分かること

  • コピーして試せる、条件を整理したAIへの依頼文
  • 勝手な約束を含む文面と、その修正例
  • 送信前に人が確認する事実・表現・宛先・添付

「伝える内容は決まっているのに、失礼のない文章に整えるところで手が止まる」。取引先への連絡で、そんな場面はないでしょうか。AIにメールの下書きを手伝ってもらうなら、文章を一から任せるより、先に用件と条件を整理すると確認しやすくなります。

大切なのは、AIには表現を整えてもらい、事実や約束は人が決めることです。丁寧でも、決まっていない納品日や値引きが書かれていれば送れません。この記事では、納品日変更の相談を例に、材料の整理から送信前の確認までを紹介します。

AIへ渡す材料は四つ

「納品が遅れるので、いい感じのメールを書いて」とだけ頼むと、AIに渡す用件や条件が足りません。入力する前に、次の四つをメモしておきましょう。

  • 相手と関係:継続して取引している担当者への連絡。初めての営業メールではない。
  • 確定した事実:予定していた納品日の変更を相談する必要がある。
  • まだ決まっていないこと:新しい納品日。変更理由も、この依頼では渡さない。
  • 相手にお願いしたいこと:日程変更が可能か、都合や希望を教えてもらう。

「変更を相談する」と「変更が決まったと通知する」は別です。相手の了承が必要な段階では、変更後の日程を一方的に伝える文面にはしません。お詫びを添える場合も、確認できていない原因や責任をAIへ補わせないことが大切です。

文章を整える前に、伝える事実と未確認の項目を手元のメモで分けます。
文章を書く前に、確定した事実と未決事項を分けます。

用件だけを取り出す

過去のメールを丸ごと貼る代わりに、日程変更を相談する用件と、相手へ尋ねたいことを新しいメモにまとめます。元のメールには、署名の電話番号、転送履歴、個別の取引条件が含まれている場合があるためです。

次の文例では、会社名や案件名を[宛先][案件名]と仮の文字で置き、下書きを確認した後で実際の名前を入れます。文章の骨組みを作るために、顧客とのやり取り全体を渡す必要はありません。

コピーして試せる依頼文

次の依頼文をAIの入力欄へ貼り付けて試せます。自分のメールで使う場合は、目的・相手・確定事項・未決事項を書き換えてください。

取引先へのメールの下書きを、件名と本文に分けて作ってください。

【目的】
予定していた納品日の変更について相談し、先方の都合を尋ねる。
【相手】
継続して取引している担当者。
【確定したこと】
予定していた日程の変更を相談する必要がある。
【未確定・渡していないこと】
新しい納品日は未確定。変更理由は渡していない。
【条件】
・新しい日時、変更理由、値引き、補償を勝手に追加しない。
・日程変更が了承されたように書かない。
・丁寧だが、回りくどくない文章にする。
・会社名、担当者名、案件名は[宛先][担当者][案件名]と表す。
・署名は[署名]とする。送信はせず、下書きだけ作る。

「丁寧に」だけでなく、追加してはいけない内容まで書くのが、この依頼文のポイントです。ただし、禁止事項を書けば誤りを防ぎ切れるわけではありません。条件を渡した後も、下書きを人が照合する工程は残します。

条件に沿ったメール文例

件名:[案件名]の納品日程についてのご相談

[宛先]
[担当者]様

いつもお世話になっております。
[案件名]につきまして、予定しておりました納品日程の変更を
ご相談したく、ご連絡いたしました。

新しい納品日程は、まだ確定しておりません。
日程変更の可否と、ご都合・ご希望をお聞かせいただけますでしょうか。

お手数をおかけし申し訳ございません。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

[署名]

この文例はメールの骨組みです。相手にどの案件か伝わるか、必要な説明が足りているかを読み直しましょう。元の納品日や理由を伝える場合は、事実を確認してから加えます。「未確定」と「調整中」は同じではありません。まだ調整を始めていなければ、「調整中」とは書き足しません。

材料と文を対応させる

渡した材料文例の対応箇所人が確かめること
日程変更を相談したい「変更をご相談したく」変更済みの通知になっていない
新しい日程は未確定「まだ確定しておりません」調整状況や回答期限を補っていない
相手の都合を知りたい「可否と、ご都合・ご希望」相手に返答してほしい内容が分かる
原因や補償は渡していない記載しない説明不足なら人へ確認し、推測で埋めない

この対応表は、文章の長さや敬語の好みより先に用件を確認するためのものです。たとえば相手から「いつ分かりますか」と聞かれそうなら、社内で回答可能な時期を確認します。未決のままAIへ期限を考えさせるのではなく、実際に回答できる時期を決めてから文章に反映します。

納品日変更を相談するメールの例
  1. 確定したこと納品日の変更を相談したい。先方の都合を尋ねたい。
  2. まだ決めないこと新しい日時や変更理由を、AIに補わせません。
  3. 送信前に人が確認余計な約束がないかを照合し、宛先と添付を確認します。

図解:本文の手順を整理したプラスタの編集案です。

下書きの確認と修正

最初に確認するのは、敬語の美しさではなく、事実と約束です。AIの下書きと依頼時のメモを一文ずつ見比べ、日程や理由の根拠を確かめます。次は、今回の条件では使えない文と、その修正例です。

未確定の日付を約束する

使えない文:「納品日は来週金曜日に変更させていただきます。」

新しい日付は未確定なのに、約束が作られています。さらに「変更します」と言い切ると、相談ではなく通知になります。

修正例:「納品日程の変更について、ご相談させていただけますでしょうか。新しい納品日程は、まだ確定しておりません。」

理由や補償を足す

使えない文:「弊社の手配ミスにより遅延したため、代金を割り引きます。」

今回の依頼には、手配ミスという事実も、値引きの決定もありません。もっともらしい説明でも残さず、必要な理由は担当者へ確認します。修正では、根拠のない原因と値引きの文を削除し、確認できた用件と相手への依頼だけに戻します。

AIに直してもらうなら、「もっと自然に」ではなく「新しい日程は未確定です。日付を削り、変更の可否を尋ねる文に直してください」と、間違った箇所と条件を指定します。修正後も、ほかの文まで変わっていないか全体を読み直してください。

次の2点だけを修正してください。
1. 「来週金曜日」という新しい日付を削る。
2. 「変更します」を、相手に変更の可否を尋ねる表現にする。
新しい納品日は未確定です。調整状況、理由、補償は追加しないでください。
修正後の全文と、変更した箇所を別々に示してください。

修正前後の下書きを並べ、指定した日付が消えたか、変更の可否を尋ねる文になったかを確認します。ほかの用件までAIが変えていないかも読み比べてください。

ChatGPTで試した結果

上の依頼文をChatGPTに入力すると、次の一文が返ってきました。

新しい納品日は現在調整中ですが、まずは日程変更についてご都合をお伺いできればと存じます。

新しい納品日、原因、値引き、補償は追加されず、変更の可否を尋ねる文になっていました。一方で、「現在調整中」は渡していない情報です。「まだ決まっていない」ことから「調整を始めている」とは判断できません。

そこで、未確定であることだけを記し、他の用件や仮表記を保つよう修正を依頼しました。修正された該当文は次のとおりです。

新しい納品日は、まだ確定しておりません。まずは日程変更についてご都合をお伺いできればと存じます。

修正前後の全文を照合すると、該当文以外の用件と仮表記は保たれていました。確認するのは日付や金額だけではありません。「調整中」「確認済み」といった進み具合の表現も、渡した材料と見比べます。

送信前の五つの確認

  • 事実:案件名、日付、数量、金額を元の資料と照合したか。
  • 約束:承認されていない納期、値引き、補償、回答期限を足していないか。
  • 相手への依頼:何を返答してほしいかが分かり、一方的な通知になっていないか。
  • 表現と置き換え:相手との関係に合い、[宛先]などの仮の文字が残っていないか。
  • 送信先と添付:メール画面で宛先、CC、添付ファイルの中身を確認したか。

メールソフトへ本文を移した後は、宛先・CC・添付ファイルも点検します。下書きが正しくても、送信先や添付を取り違える可能性があるためです。値引きや補償を記載する場合は、その案件の責任者が決めた条件と一致するかも照合してから送信します。

自社の仕事に合わせて考える

AIか、ひな形かを選ぶ

メールの状況進め方の提案判断する理由
相手や説明の順序が毎回変わる用件を整理してAIに下書きを依頼する内容を変えず、相手に合わせた文章の組み立てを試せる
受付完了など、毎回ほぼ同じ連絡まず既存のひな形で足りるかを見る毎回生成すると、固定したい案内まで変わる確認が必要になる
納期・値引き・責任の扱いが未決社内で条件を決めてから文章にする文章を整えても、会社として何を約束するかは決まらない

今回の納品日変更なら、「確定した用件を相談の形に整えるところ」をAIへ任せます。新しい納期や補償は案件の責任者と決め、その決定をメールに反映します。

最初は、よく書くメールの一種類に絞って試すのがおすすめです。依頼文の「目的・相手・確定事項・未決事項」をひな形として残し、案件ごとに入れ替えます。前回の相手や条件が混ざらないよう、完成メールを使い回すより、空欄のひな形から始めると確認箇所をそろえやすくなります。

使う前後を比べるときは、文章を作る時間だけでなく、入力の準備、確認、修正の手間まで見てください。短い定型メールなら、既存のひな形を直す方が簡単なこともあります。AIを使うこと自体を目的にせず、「自分で内容を説明でき、安心して送れる下書きになったか」を判断の軸にしましょう。

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